東京大学駒場素粒子論研究室紹介

東京大学 大学院総合文化研究科 広域科学専攻 相関基礎科学系

我々の研究室は駒場キャンパスにあり、 「大学院 総合文化研究科」 に属しています。 理学系研究科 とは別ですので注意してください。必ず 総合文化研究科 を受験して下さい。(詳しくは、大学院 総合文化研究科 広域科学専攻 相関基礎科学系の入試案内を参照のこと。)

入試説明会・研究室紹介を毎年4~6月頃に行なっています。2019年度(2020年度入試)は、以下の日程です。

2019年 4月20日(土) 13:00〜 広域科学専攻入試説明会 5月18日(土) 13:00〜 相関基礎科学系研究室見学会

全体説明会、素粒子原子核(B)グループ個別説明会(合同説明会および大川研説明会)の後、16号館311号室にて、現大学院生もまじえて素粒子論研究室の懇談会を行います。興味のある方はどうぞ来て下さい。

メンバー

スタッフは 加藤光裕菊川芳夫大川祐司(以上教授)、奥田拓也藤井宏次 (以上助教) の5名。

大学院生・ポスドクは、修士課程5名、博士課程4名、研究員0名の計9名が在籍している。 参考のために大学院生の進路について簡単にふれておこう。 過去約30年間において本研究室で大学院を終えて博士号を取得した者のうち24名が国内外の大学の教授、准教授、講師、助教等(神戸大、秋田大、茨城大、ブィットウォーターズランド大、大阪大、大阪市立大、岡山光量子研、京大、九州大、近畿大、久留米高専、静岡大、島根大、首都大、拓殖大、千葉大、筑波大2名、東大2名、東工大、東北大3名、名古屋大)、約10名が国内外のポスドク・学振・COE研究員等を務めて活発に研究を行なっている。その他の人も修士課程だけの修了者を含めて大多数が企業の研究部門等で活躍中である。

研究室活動

学期中はほぼ毎週、国内外の研究者を招き様々な研究テーマについての発表を聞きメンバー全員によって討論するセミナー、及び研究室メンバーが最新の進展を紹介する文献紹介が開かれる。これらに加えて、研究室メンバー自身の研究発表とそれに対する討論、共通する課題についてのグループ勉強会等が適宜行なわれる。大学院生は、できるだけ早い時期からセミナーや文献紹介等に参加し議論に積極的に加わるように努めることが要求される。また研究室の運営は、大学院生も役割の一部を分担してメンバー全員の協力のもとで行っている。

研究分野

素粒子論は、言うまでもなく、可能な限りの極微のスケールにおける自然界の成り立ちを探求する学問であるが、現存する加速器による実験で調べることができるのは長さのスケールにして約10-16cm 程のところまでである。そしてここ25年程の間の急速な進展によって、このスケールまでの物理は「量子色力学」及び Weinberg-Salam の「電弱統一理論」と呼ばれるゲージ理論によって説明され得ることがほぼ確立されたと考えられている。従って、現在の素粒子論の理論的研究の大勢は、よりミクロなスケールにおける、重力をも含んだ統一理論の構築をめざしているといってよい。 

この方向の有力な試みとして、この15年位「超弦理論」が盛んに研究されてきている。超弦理論が統一理論として機能するためには、まだ幾多の基本的困難を克服しなければならないことは言うまでもないが、ごく最近の双対性やブラックホールの解釈等に関する目覚ましい進展は、近い将来大きな発展が起こることを予感させるものがある。また、超弦理論の数学的構造は統計多体系の相転移現象と密接に関係しており、その方面の研究とも表裏一体となっている。本研究室における研究テーマはこうした素粒子理論研究の世界的状況を反映しながら、超弦理論を中心として量子宇宙論から凝縮系物理までにわたる幅の広いものとなっている。

各スタッフは現時点での主要な研究テーマ以外にもこれまで数多くの研究を手がけてきており、全世界的進展状況、新しい実験結果の出現等に柔軟に対応する姿勢をもって研究している。また各分野間は、互いにその研究方法や用いる数学的手法において密接に関連しており、広く討論がなされつつ研究が進められている。大学院生の研究テーマは、スタッフのそれとかならずしも直接重なる必要はなく、多くの場合大学院生の自主性によって選ばれている。我々スタッフ一同は大学院生が研究室活動、教官との真剣な討論、院生同士の自由で活発な議論や共同研究等を通じて、それぞれの分野で一人前の専門家として育っていくことを切望しつつ、緊密な協力のもとで指導を行っている。